ちょっとスピリチュアル…かもしれない

メインブログの中から、スピリチュアル色のある記事を抜き出しました。なにかの専門家ではありません。日常の中で感じることを淡々と綴っています。数秘術やオラクルカードにはちょっと興味があります。

 

律義な旅人

 

私が病気療養をしながら洋裁教室に通っていたころなので、もうずいぶん昔になります。

 

教室といっても先生が個人で教えておられるものなので、小さな規模です。小さなお宅ですし。そういう教室に平日の昼間に来られる方は、もうとっくに育児などから卒業された主婦の方ですね。60~70代くらいの。(夜には若い生徒さんもいらしたようですが)

 

私はよくNさんとYさんというおばさまがたと一緒になりました。まあ、手よりも口の方がまめに動く方々でしたが。ちょうどいい退屈しのぎになっていたのでしょう。

 

 

そのうちのNさんがお休みされることが続きました。私はそれとなく先生とYさんにお聞きしたら、Nさんのご主人は病気で入院されていて、あまり状態がよくないらしい、というのがわかりました。「それはご心配ですね」としか言えませんが……。

 

その後、Yさんから聞いた話。

 

Nさんのご主人はいわゆる「地元の名士」というのか、とにかくいろんな貢献をされていて、非常に顔が広く、交友関係が広い方だったそうです。私は当時世情に疎かったんで知りませんでしたが、もしかすると議員などもされてたのかもしれません。

 

ある日の午後、区役所にそのご主人が現われて、親しかった人やお世話になった人にひとしきり挨拶をされたそうです。いままで世話になった感謝の旨、見えない人には多分なにがなんやら??だったと思いますが。何人かは本当に確認して挨拶を返されたそうですし。

 

道でばったり会った人もいらして、やはり挨拶したものの「あれ?あの人っていま入院中ではなかったか?退院出来たらよかったけど、顔色悪かったなあ」と思っておられたようです。

 

役所の誰かが気になって電話されたらしいです。そうしたらとてもその時は外出出来る状態ではなくて、意識不明で危篤の床だったと判明して役所の中はしばし騒然とした模様です。

 

私はそれは聞いて、なんという律義な方だろう、と思いました。現世でお世話になった方に挨拶して逝かれるなんて。まあ、真面目でもあったんだろうな、と思いました。

 

Nさんのご主人のお葬式は当時の慣習よりもはるかに盛大に、参列者が列をなすほどにぎやかに営まれたようです。

 

ちゃんと挨拶出来たなら、もう思い残すことはないよね、とちょびっと感動した当時の私でした(^^;)

 

 

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